真摯な仕事で鮨通を魅了する銀座の名店〈凛にしむら〉
魚は天然物にこだわり、豊洲市場の信頼する仲買から最良と思うものだけを仕入れる。酢飯の米は岩手県の「遠野(とおの)4号」。小さな農家が手間暇かけて育てた米は、しっかりと存在感があり、鮨ダネを大きく切りつけても負けることがない。食材や調理法へのこだわりは枚挙にいとまがないが、この店の魅力は、西村氏の丁寧な仕事と柔和な人柄を抜きに語れない。

小さな仕事まで心を込めて

お店の味を自宅で自由に。柔軟な発想から生まれたセット
鮨屋の出前と言えば握りやちらしが思い浮かぶが、西村氏が提案したのは、手巻きを中心とした会席仕立てのオリジナルセット。特筆すべきは、極上の鮨ダネだけでなく、2種類の蛸の煮付けやあん肝煮、付け合わせの胡瓜や沢庵に至るまで、惚れ惚れするほどの仕事が施されていること。自宅で味わえる、この上ない贅沢を紐解いてみたい。
自分が創る意味を考え、この形に
仕込みから提供方法まで、試行錯誤。

「ひと手間」さえ、ないように
食卓にはお重のまま出してもよいが、盛り付けるなら刺身や一品料理はお皿の左上を高くすると見映えがよくなる
鮨職人・西村氏が提案する、自宅での手巻きの楽しみ方
お店では鮨ダネに合わせた食べ方を示されることもあるが、自宅では各人の好みで味わえることも醍醐味。西村氏は「家だからできる、自由な楽しみ方をしてほしい」と言うものの、いっそう楽しむ方法を教えてもらった。
手巻きは3分の1サイズに。 たくさんの組み合わせを楽しんで
風味豊かな焼き海苔は築地の専門店のもの。パリッと手で折り、小さめの3分の1サイズに。そうすることで、様々な組み合わせを自由に味わうことができる。シャリは簡単に形を整え、俵型にすると食べやすい。
さらに、西村氏がおすすめする組み合わせをご紹介。手巻きの黄金レシピ、ぜひお試しあれ。
黄金の掛け合わせ
「トロたく」
「あなきゅう」

「ウニ&キャビア」
食べ比べからオリジナルソースまで手巻き以外もおいしさがいっぱい!
「つまみには遊び心が必要だから」と、刺身にキャビアを添えるなど、江戸前鮨ではお目にかかれないメニューも。この他、あん肝煮や烏賊飯など、一品一品が主役級のおいしさで、全てをご紹介できないのが残念なほど。
PICK UP
「2種類の蛸を食べ比べ」
「ガリタルソースで味わう牡蠣フライ」
「自家製ぷ凛」
西村氏の提案は、デリバリーの新境地と言えるほど驚きに満ちていた。なぜなら、お店でいただく握りとも、自宅で高級食材を揃えた手巻きとも違う、想像を超えるセットだったから。ハレの日や記念日に、ぜひ極上時間を味わって。