
丹念に仕込み、大晦日に仕上げる三段重
時間をかけて仕込みを始めて、仕上げは大晦日。からすみや数の子は約2か月かけて、豆類は丁寧に戻して炊き、蒲鉾は自家製で海老や穴子と合わせて作られる。分とく山のおせちは、それほどまでに丹念に作られているのかと驚くほど、一品一品に手が込んでいる。
「全て手作りで添加物を使用していないので、できれば元旦のうちには食べきってほしい」と、料理長。そんなこだわりの「生おせち」は、これまで料理長自ら大晦日に常連さんにお届けしていた。おのずと数も限られてしまっていたが、今年は、GO Dineによって、タクシーでお届けできることになった。「年末の忙しい時期に、お客様が店舗に取りに来なくてもおせちを注文できる方法が増えたことがとても有難い」

作り置きではない、足が早いからこそ美味しさもひとしおの、人肌感溢れる生おせち。それではさっそく、一段ずつ開いて中身を見ていこう。
【まずは、一段目】
「正直、年末に活きている伊勢海老を仕入れるのは、業者にも驚かれます。一番値が張る時期なので」しかし、阿南料理長のこだわりは揺るがない。「冷凍ではなく、直前まで活きているものを」と、鮮度へのこだわりがいかんなく発揮された伊勢海老を中心に、黒豆、数の子、からすみ、栗きんとんなどのおめでたい品々が、所狭しと詰め込まれた華やかなお重だ。

【続いて、二段目】
つややかに輝く、いくらの醤油漬けを中心に、魚のすり身から手作りしている伊達巻き。鮭昆布巻き、鰤(ぶり)粕味噌焼などが詰まった二段目。注目は、右上の黒い粒状のものがまぶされた、紫花豆の蜜煮。荏胡麻(えごま)をまぶしたお豆で外はカリッと中は柔らかく仕上がった今年の新作料理だ。

【そして、三段目】
大きなあわびを囲むのは、海老と穴子の2種類のかまぼこ、絹田巻、子持ち昆布など。魚卵は「子孫繁栄」、海老は「背中が曲がるまで長生きを」など、一つ一つおめでたい祝い言葉を体現した料理が詰まっているのがおせち料理。鮮やかな紅白の背中がくるりと曲がった海老の艶煮がずらり並ぶ姿が美しい。

特に注目の7品をピックアップしてご紹介
一つ一つの料理が全て逸品と呼べる繊細な手仕事で丹念に作られた分とく山のおせち料理。その中でも特に料理長が推す、特別な7品に注目した。
注目の逸品

数の子、からすみ

あわび福良煮

海老蒲鉾、穴子蒲鉾

黒豆蜜煮

いくら醤油漬

伊達巻き
【料理長の思い】2022年こそは素晴らしい一年に
素材の自然な味わいを極限まで引き出す、鮮度にこだわった生おせち。2022年に向けて、じっくりと仕込みはじめた阿南料理長に、おせちに込めた思いを聞いた。
